働き方改革
「ブーメラン社員」とはどんな社員? メリットとデメリットを解説!
あなたは、「とある企業の人事担当者」だとします。
ある日、退職者リストを確認していたところ、以前働いていたAさんに目が留まりました。
「『仕事はできるし、勤務態度も真面目だったから、また戻ってきてほしいんだよなぁ……』と思っていた矢先、当のAさんが『また働かせてください』と採用面接にやってきた」としたら、あなたはどうしますか?
実は、「一度退職した会社に再度勤めるブーメラン社員」という働き方が注目を集めています。
今回は「ブーメラン社員が何であるか」や「メリット/デメリット」を分かりやすくお話していきますね。
ブーメラン社員とは?
ブーメラン社員とは、「過去に一度退職した企業に再就職した従業員」を指す言葉です。
「一度外へ出て行って再度戻ってきた様子」を「投げると手元に戻ってくるブーメラン」に喩えています。
なお、退職してから復職するまでの平均期間は、「退職後1年〜1年半ほど」と言われています。
日本では2008年の「リーマンショック」を機に、注目されるようになった働き方ですが、とある調査結果では「賛否が真っ二つに分かれた」ほど、考え方に温度差があるのも実状です。
そのため、「ブーメラン社員向けの復職制度を設立してまで受け入れている企業はまだまだ少数派」ですが、「大手を中心に採用事例が増えている」傾向にあります。
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なぜブーメラン社員は求められるのか?
賛否両論あるものの、「大手を中心に採用事例が増えている」ことから、「ブーメラン社員が求められていること」は「間違いない」でしょう。
では、なぜ「ブーメラン社員は求められている」のでしょうか?
その理由には次の3つが挙げられます。
ブーメラン社員が求められている理由
・転職に対する意識が変化した
・人手不足
・働き方の多様化
終身雇用が一般的な時代においては、転職は「企業に対する裏切り行為」や「長続きしない軟弱者のすること」と言った「悪いイメージ」が強くありました。
しかし、時代の変化と共に、転職することは「当たり前」となってきました。
そのため、「転職に対する悪印象が薄まり、転職そのものに対する心理的ハードルが下がった」わけです。
その結果、「元いた会社へ戻ることも転職の1種」という考え方が生まれたのでしょう。
また、小泉政権時代に行われた「派遣の自由化」により、「正規雇用労働者は減少」しました。
さらに追い討ちをかけるように、少子高齢社会も進み、「社会自体が慢性的な人手不足」にあります。
加えてこの数年の新型コロナウイルスの流行と蔓延により、リモートワークの一般化などで働き方はなお一層の多様化を迎えました。
こうした事情もあって、「ブーメラン社員は求められている」わけです。
そうは言っても気になるのは、「実際にはどのくらいの企業がブーメラン社員を受け入れているか」ですよね。
コロナ禍になる少し前、2018年に『エン・ジャパン』社が行なった調査では、約7割の企業が「ブーメラン社員を受け入れた経験がある」と回答しています。
ちなみに、「ブーメラン社員を受け入れた理由」としては、「即戦力を求めていた(39%)」や「人間性を把握できている分、安心感があった(38%)」、「コストを抑えた採用がしたかった」などが挙げられます。
また、85%は「退職前と同職種」に配属されている傾向があり、受け入れ側の反応としても良好なものが8割弱(とても良い:19%、まあまあ良い:64%)を占めていました。
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ブーメラン社員のメリット
ブーメラン社員となることには、どんなメリットがあるのでしょう?
企業と労働者とでは、見えている視点が異なるので、それぞれの場合に分けて見ていきましょう。
企業側のメリット
・様々なコストを削減できる…… かつてその企業で働いていた経験がある分、最低限のことを理解してもらえているので、教育や研修のコストを抑えられる、直接オファーするため、転職サイトでの掲載コストを削減できる
・即戦力として活躍できる…… 仕事を分かっているから
・「自社にない視点」を持っている可能性がある…… 一度「ソト」の世界を見ているから
・ミスマッチの可能性が少ない…… ブーメラン社員は、元の会社の「欠点も理解した上で」戻ってきてくれるから
労働者側のメリット
・以前よりも好条件で働ける可能性がある……「経験者」とみなされることで、昇給などの機会を得られる(最大28%の昇給を得られているというデータもある)
・職場に早くなじむ……勝手が分かっている分、職場に馴染みやすい
・即戦力として活躍できる…… 仕事を分かっているから
メリットを見ると、どちらにとっても「願ったり叶ったり」と言えそうですよね。
おそらくこうした理由からも「ブーメラン社員は求められている」のかもしれません。
ブーメラン社員のデメリット
「メリットがある」ということは、裏を返すと「デメリットもある」と言えます。
デメリットも「企業と労働者」に分けて見ていきましょう。
企業側のデメリット
・ポストが空いてなければ雇えない可能性がある
・条件が悪ければ、再度退職される可能性がある
労働者側のデメリット
・ポストが空いてなければ雇われない可能性がある
・何らかのスキルを持っていなければ、出戻れない可能性がある
・「やむを得ない事情で退職して」いなければ、出戻れない可能性がある(ケンカ別れに近い状態で退職した場合、出戻れない可能性が高い)
・職場の雰囲気によっては歓迎されない可能性がある
デメリットを見ると、労働者側のほうが不利な可能性が高そうですよね。
そのため、「ブーメラン社員になる」のであれば、「戻り先の現状をしっかり見極めた」上でブーメランするべきでしょう。
ブーメラン社員を採用する際のポイント
では、実際に「ブーメラン社員を採用する」場合、何か気を配るポイントなどはあるのでしょうか?
実際にブーメラン社員を採用する場合の注意点としては、以下の2つが挙げられます。
・なるべく退職前と同等の地位や仕事などを保証する
・退職せず残っている社員に不満を抱かせるような扱い方をしない
「保証がなければ、ブーメランするほうも戻ってこない」でしょうし、「ブーメラン社員だけを優遇」してしまうと、「退職せずに残っている社員とのいらぬ摩擦を生む」原因となるかもしれません。
戻ってきた人/残った人それぞれが納得して働ける環境用意して初めて、「円満なブーメラン雇用」が成立することを心得ておきましょう。
まとめ
時代の変化などを受け、「ブーメラン社員」という働き方も選択肢の1つとなってきています。
そうは言っても、「ブーメラン社員を受け入れるか否か」は、「その企業の考え方による」ため、ブーメランをしたいのであれば、事前に出戻り予定先の現状などを把握しておきたいと言えます。
メリット/デメリットなどをしっかりと見極めた上で、労使共に納得のできるブーメラン雇用で働けるようになれれば幸いですね!
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