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人事評価制度とは?4種類の概要と選び方のポイント

人事評価制度とは、従業員の業績・能力・行動などを一定の基準で測定し、処遇や育成に活かす仕組みです。等級制度・報酬制度と連動して機能するため、制度設計の良し悪しが組織全体のパフォーマンスや従業員エンゲージメントに直結します。

代表的な手法は下表の4種類です。それぞれ評価の軸・共有範囲・達成基準が異なるため、自社の規模・業種・目指す組織文化に照らして選ぶことが重要です。

種類 評価の軸 主な特徴 向いている組織
MBO型目標管理 目標達成度 個人目標を設定し100%達成を基準に評価 目標が安定しやすい業種・職種
OKR型目標管理 目標達成度(高頻度) 全社共有・高い目標設定で60〜70%達成を成功とみなす スピード重視・変化の激しい組織
コンピテンシー評価 行動特性 ハイパフォーマーの行動特性を基準に評価 組織の底上げ・人材育成を重視する企業
360度評価 多面的評価 上司・同僚・部下など複数視点で評価 公平性・透明性を高めたい組織

人事評価制度は「等級制度」や「報酬制度」と連動してくる「人事の要」のひとつですよね。
そうは言っても、「実際の人事評価にはどんな種類があるのだろう?」と疑問に思っている人も少なくないでしょう。
そこで今回は「代表的な人事評価制度の方法」を4種類紹介していきますね。

評価方法の種類を一覧で整理|3つの切り口

「評価方法の種類」と一口に言っても、①何で測るか(評価手法)②誰が評価するか(評価者)③何と比べるか(評価基準)の3つの切り口があります。まず全体像をつかんでから、自社に合う組み合わせを選ぶのが失敗しないコツです。

① 何で測るか:評価手法の種類

評価手法何を評価するか向いているケース
MBO(目標管理)期初に決めた目標の達成度成果が数字で測りやすい職種
OKR挑戦的な目標への進み具合変化が速く、全社で方向をそろえたい組織
コンピテンシー評価成果を出す人に共通する行動「求める行動」を明確にしたい組織
360度評価上司・同僚・部下など多方面からの見え方管理職の育成、評価の偏りを減らしたい場合
バリュー(行動指針)評価会社の価値観に沿った行動ができているか理念・行動指針を浸透させたい組織
スキル評価(スキルマップ)業務に必要なスキルの習得度育成と評価をつなげたい組織、専門職・技術職
ノーレイティングランク付けをせず、継続的な対話で評価頻繁なフィードバック文化がある組織

② 誰が評価するか:評価者の種類

  • 上司評価:最も一般的。上司の主観に左右されやすいため、基準の明確化が欠かせません。
  • 自己評価:本人の振り返りを促します。上司評価とのずれが、面談の良い材料になります。
  • 多面評価(360度):複数の視点で公平性を高めますが、運用の手間がかかります。

③ 何と比べるか:絶対評価と相対評価

  • 絶対評価:決められた基準に対して、どこまでできたかで評価します。育成に向いています。
  • 相対評価:社員同士を比べて順位をつけます。報酬原資の配分はしやすい一方、納得感が下がりやすい方法です。

評価項目は大きく「業績(成果)」「能力(スキル)」「情意(姿勢・行動)」の3つに分けられます。どの手法を選んでも、「何をすれば評価が上がるのか」が本人に見えることが、納得感と成長の両方につながります。以下では、代表的な4つの手法(MBO・OKR・コンピテンシー評価・360度評価)を詳しく比べます。

MBO型目標管理

MBO型目標管理の「MBO」とは、「Management By Objectives」の頭文字を取った略称で、「会社の目標を組織や個人の目標に落とし込み、達成度によって評価する方法」です。
この方法はオーストリアのユダヤ系経営学者・ピーター・ドラッカーが提唱したことで知られています。

ちなみに、ドラッカーの名は、10年ほど前に大流行りした『もしドラ』こと『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』でも登場しているので、聞き覚えのある人も多いかもしれませんね。

この目標管理制度(MBO)は、「従業員それぞれが定めた目標に向かって業務に取り組んでいける」ことから、「企業全体の目標達成に繋げられ」、さらに、「期間や取り組む内容などを具体化できる」ことで、評価がしやすく、評価する側/される側双方に納得感が生まれやすいと言われています。

ただし、「成功」とされるのは、「目標を100%達成できた場合」なので、「目標事項の変動の大きい企業には不向き」と言えるでしょう。

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OKR型目標管理

OKR型目標管理の「OKR」とは、「Objective Key Results」の頭文字を取った略称で、MBO型と同じく「会社の目標を組織や個人の目標に落とし込み、達成度によって評価する方法」です。

「インテル、入ってる?」でお馴染みの『インテル社』で生まれ、GoogleやFacebookと言ったアメリカの大手IT企業を中心に積極的に取り入れられている方法になります。


先ほど紹介した「MBO」と同じ「目標管理型」ではありますが、「個人目標が全社員に共有されること(※MBO型の共有範囲は「上長や関連する評価者」に限られる)」や「評価スパンが短い」、「目標の6〜7割達成で成功とみなされる」などの違いがあります。

MBOとOKRの違い
MBO
・目標の共有範囲:上長や関連する評価者
・評価頻度:四半期〜半期
・達成基準:100%達成がマスト
・評価指標:定性評価(数値などの明確な実績や成果では表せない対象への評価)と定量評価(数値化したデータを基に客観的な評価を行うこと)を組み合わせる場合が多い

OKR
・目標の共有範囲:全社員
・評価頻度:月1回など高頻度
・達成基準:高めの目標を設定しておき、60~70%の達成で「成功」とみなす
・評価指標:定量評価

そのため、「各自の貢献が企業の業績に繋がることでモチベーションが高まる」、「設定目標が高いことから設定者によるバラつきが少なくなる」などのメリットがあります。
しかし、「評価機会が頻繁にあることで、管理工数が多くなる」、「目標以外の業務に対する関心が薄くなる可能性がある」などのデメリットがある点には注意しましょう。

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コンピテンシー評価

コンピテンシー評価の「コンピテンシー(competency)」とは、「能力」や「資格」、「適性」などを意味する英語で、日本のビジネス用語としては、「業務遂行能力」を指して言います。

つまり、コンピテンシー評価とは、「業務遂行能力が高い従業員に共通する行動特性を参考に評価の項目を設定し、評価していく」方法を指します。
このコンピテンシー評価では、「高パフォーマンスの従業員が持つ、スキルや知識、能力などの行動特性を分析し、評価する上での基準を明確にできる」ことから、「評価のブレが発生しない」ことが特徴です。

また、「あるべき姿により近い姿勢や行動を行っている優秀な従業員」の行動特性を「手本として示す」ことで、周囲も同じ特性を身に付けられることから、「組織の底上げに繋げられる」可能性があり、さらに、「行動特性とパフォーマンスの結び付きを示せる」ことから、評価時の納得感が得られやすいという利点があります。

とは言え、「定性評価がメイン」となることで、「評価がバラつくおそれがある」、「評価されるのが行動面」であることから、「実際の業績(結果)との乖離が懸念される」といった問題点が考えられるため、注意が必要でしょう。

360度評価

360度評価は、「上司からの評価に加え、先輩や後輩など複数の同僚からの評価も加味する方法」を言います。
「上司が部下を評価すること」はもちろんですが「部下が上司を評価すること」も含まれています。

この360度評価は、「上司の視点からでは判断できない特性などを補完し、評価の公平性や妥当性、信頼性が担保される」ことや「複数名から評価される」ことで、「評価される側の納得感を高くできる」ことが強みです。

また、「部下が上司を評価する」ことで、「経営層には分からなかった実態まで把握できる」と言ったメリットもあります。

しかし一方で、「上司が部下からの評価を気にして、適切なマネジメントや教育を避ける懸念がある」や「評価に慣れていない従業員も評価に参加するため、評価の方法をあらかじめ指導する必要がある」などのデメリットがあることを忘れてはなりません。

そのほかの評価方法:バリュー評価・ノーレイティング・リアルタイムフィードバック

MBO・OKR・コンピテンシー評価・360度評価のほかにも、最近よく使われる評価方法があります。どれも単独で使うより、上の4つと組み合わせて使うのが一般的です。

評価方法何を評価するか向いている組織注意点
バリュー評価(行動指針評価)会社の理念・行動指針(バリュー)に沿った行動ができているか理念を浸透させたい会社、社員が増えて価値観がばらつき始めた会社行動指針が抽象的だと評価がぶれる。「どんな行動ができればよいか」まで言葉にする
ノーレイティングS・A・Bなどのランク付けをやめ、日々の対話とフィードバックで成長を見る上司と部下の対話が多く、変化の速い組織処遇(給与・賞与)の決め方を別に用意しないと、かえって不透明になる
リアルタイムフィードバック期末にまとめてではなく、1on1や週報で、その都度よかった点・直す点を伝える若手が多い会社、育成を重視する会社記録が残らないと、期末の評価で使えない。伝えた内容を記録する仕組みが要る

特にバリュー評価は、中小企業で取り入れやすい方法です。社長が大事にしている考え方を行動指針にし、「その行動ができたか」で評価すると、評価が会社の言葉になり、社員の納得感も上がります。行動指針と評価をつなげる考え方は、社会人基礎力の評価方法でも紹介しています。

評価の対象は3つ:業績評価・能力評価・情意評価

評価方法とは別に、「何を対象に評価するか」で分ける考え方もあります。多くの会社の評価制度は、次の3つを組み合わせてできています。

評価の対象中身主に使う評価方法
業績評価期間中に出した成果(売上、目標の達成度など)MBO、OKR
能力評価仕事に必要な知識・スキルをどこまで身につけたかスキルマップ、コンピテンシー評価
情意評価仕事への姿勢(規律性、協調性、責任感、積極性など)バリュー評価、360度評価

一般的には、等級が上がるほど業績評価の比重を高くし、若手ほど能力評価・情意評価の比重を高くします。若手のうちは成果だけで評価すると、育つ前に自信をなくしてしまうからです。能力評価の土台になるスキルの整理のしかたは、スキルマップの作り方で解説しています。

どの評価方法でも起きる「評価エラー」と防ぎ方

どれだけ良い評価方法を選んでも、評価するのは人です。評価者がつい陥りやすい偏りを「評価エラー」と呼びます。代表的なものを知っておくだけで、評価のぶれはかなり減らせます。

評価エラーどんな偏りか防ぎ方
ハロー効果1つの目立つ長所・短所に引きずられて、ほかの項目まで同じように評価してしまう項目ごとに、根拠になった具体的な行動を書く
寛大化傾向部下に嫌われたくない気持ちなどから、全体的に甘く評価してしまう評価基準を言葉で示し、評価者どうしで基準をすり合わせる
中心化傾向差をつけるのを避け、真ん中の評価ばかりつけてしまう「できている行動」の例を決め、○か×で判断できるようにする
期末誤差評価期間の終わりごろの出来事だけが強く印象に残る週報や1on1で、期間中の行動を記録しておく
対比誤差評価者自身と比べて評価してしまう(自分が得意な分野ほど厳しくなる)評価者本人ではなく、評価基準と比べる

どの評価エラーも、「評価の基準を言葉にする」「行動を日々記録する」の2つで大きく減らせます。評価の基準は面倒でも最初に作り、記録は特別な作業を増やさず、週報や1on1の中に組み込むのが長続きするコツです。

評価の手間は、AIでどこまで減らせるか

評価制度が形だけになる一番の理由は、評価する管理職の手間が大きいことです。最近は、週報や1on1の記録の要約、根拠つきの評価コメントの下書きなど、評価の「前の作業」をAIに任せられるようになってきました。

ただし、評価の点数を決めることや、本人に評価を伝えることは、人が担うべき仕事です。AIに任せる仕事と人に残す仕事の線引きは、タレントマネジメント×AIエージェント|人事評価・育成はどこまでAIに任せられるかでくわしく解説しています。

まとめ

人事評価制度には、今回挙げた4種類以外にも多くの方法があります。
そのため、「どの方法が自社に適しているか」を見定める必要があります。
どの方法を選ぶにしても、「一長一短はあるもの」なので、「メリットだけでなくデメリットまでしっかりと確認した上で選んでいきたい」と言えるでしょう。

あなたの会社にフィットする人事評価制度を選んで、全社員が納得できる評価制度を運用していけると良いですね!

評価方法の種類と、企業規模別の向き・不向き

同じ人事評価制度でも、会社の規模や業種によって向き不向きがあります。4種類を「どの企業に合うか」で並べ直すと、選びやすくなります。

評価方法の種類向いている企業 運用の負荷注意点
MBO(目標管理) 全規模。数値目標を立てやすい営業・製造 中 目標が低く設定されやすい。難易度の調整が要る
OKR 変化の速い事業・スタートアップ 高 報酬と直結させると挑戦しなくなる。切り離して運用する
コンピテンシー評価 育成を強くしたい中堅・中小企業 中 行動特性の言語化に手間がかかる。ここが制度の質を決める
360度評価 管理職の育成・組織の風土改善 高 処遇に直結させない。あくまで気づきのための材料にする

実務では1つに絞る必要はありません。「業績はMBO、能力はコンピテンシー」のように軸を分けて組み合わせるのが一般的です。ただし数を増やすほど運用が重くなるので、最初は2つまでにとどめるのが現実的です。

どの種類を選んでも、共通して必要になるのが「何ができれば評価されるのか」を言葉にしたものさしです。ここが曖昧なまま制度だけ入れても、評価者によって結果が変わり、納得感が生まれません。

よくある質問(FAQ)

Q. MBOとOKRはどちらを選べばよいですか?

目標が比較的安定しており、定性・定量を組み合わせた評価を行いたい場合はMBOが適しています。一方、変化が速い環境で全社員の目標を共有しながら高い挑戦を促したい場合はOKRが向いています。両者を組み合わせて運用する企業もあります。

Q. コンピテンシー評価の「行動特性」はどのように設定しますか?

自社で高いパフォーマンスを発揮している従業員へのインタビューや行動観察を通じて、共通する行動パターンを抽出するのが一般的です。外部のコンピテンシーモデルを参考にしながら、自社の事業特性に合わせてカスタマイズすることが重要です。

Q. 360度評価を導入する際の注意点は何ですか?

評価に慣れていない従業員が参加するため、評価基準や記入方法を事前に丁寧に説明する必要があります。また、上司が部下からの評価を過度に意識して適切なマネジメントを避けるリスクがあるため、評価結果の活用方法と目的を組織全体で共有することが大切です。

Q. 複数の評価制度を組み合わせることはできますか?

はい、可能です。たとえば「OKRで目標管理を行いつつ、コンピテンシー評価で行動面を補完する」といった組み合わせは実際に多くの企業で採用されています。ただし、制度が複雑になると運用負荷が増すため、評価項目の整理と従業員への丁寧な説明が不可欠です。

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