4年で66名→249名。ロールモデル不在の急拡大SESが、スキルマップを評価・昇給・面談・営業まで一本につなぎ、資格取得率96%とAIで評価工数75%減を実現
2021年創業、平均年齢26.7歳。未経験者を100%プロパーで採用し、4年で社員66名→249名、売上1.15億→11.15億円、契約社数29→116社へ急拡大したSES企業。ただし「中堅社員がいない。ロールモデルがいない」——顔とスキルが一致しなくなる規模で、研修で培ったマインドは現場に出ると薄れ、「ベンチャー魂を末端まで求めすぎた」ことへの不満も出ていました。2024年10月、社会人基礎力を軸にしたスキルマップをskilltyで全社運用。評価・昇給制度、半年ごとのキャリアアップ面談、34名のメンター制度(研修3回)、営業の「シェア獲得シート」までを一本に連動させ、資格取得率96.25%、AIフィードバックで評価工数75%削減を実現。2026年2月には両社共催でその全容を公開しました。
何が、どう変わったか
導入後の変化 ― 「誰がどのレベルか」を経営が1画面で把握し、AIで評価工数75%減
悟空テクノロジーズは2021年10月創業。第1期の社員66名・売上1.15億円から、第4期には249名・11.15億円、契約社数は29社から116社へ伸びました。2026年2月時点では268名、全員が正社員です。未経験者を100%プロパーで採用し、平均年齢は26.7歳。CCNAを1〜1.5ヶ月で取得させる育成力で、資格取得率は96.25%に達しています。
この急拡大期に、同社はskilltyで全社員のスキルマップを運用してきました。入社〜6ヶ月、7〜12ヶ月、13〜18ヶ月、5年目とシーズン別に基準を定義し、社員は毎月2〜3項目を「お気に入り」に登録して実践し、コメント付きで自己チェック。メンターが1週間以内に承認コメントを返します。体と心のコンディションも同時に入力されるため、客先常駐のメンバーの状態も本部から見えるようになりました。
もう一つの変化がAIです。同社のスキルマップの基準をAIに読み込ませたことで、評価1項目あたりのフィードバック工数は12分から3分へ、75%削減。若いメンターが「基準に沿った言葉」でフィードバックを返せるようになり、34名のメンターが月次で回す運用が現実のものになりました。
▲ 自社スキルマップの定義をAIに与えることで、基準に沿ったフィードバックを3分で(共催ウェビナー資料より)
背景 ― 「ベンチャー魂を、末端まで求めすぎた」
悟空テクノロジーズは2021年10月、野田社長を含む5名で創業しました。創業から3年間は「家を売って事務所にみんなで泊まり、深夜までスカウトを送り、問い合わせフォームを送り続けて寝落ちする」という日々。IT業界出身の創業メンバーは1人だけ。コネクションのないところから、圧倒的な量で採用と営業を積み上げ、4年で250名を超えました。
成長痛は、その裏側で起きていました。野田社長の言葉です。「正直、末端にまでベンチャー魂を求めすぎたところがありました。業務が終わった後にみんなでミーティングをしたり、良かれと思って任せた仕事が、業務外の給料の話にもなった。『サラリーマンではなく、一緒に会社を作る仲間として四六時中やろうぜ』というノリが、通用しなくなる時が来る。理解できる人とできない人の住み分けが下手で、ヘイトが向いた時期もあった」。
もう一つは、客先常駐という業態そのものの壁です。「現場に入った後は、本社との接触機会がどうしても減っていく。研修期間中に培ったマインドや意識をどう継続させるか——これはマインドの話だけではなく、仕組みだと思いました」。やる気があって帰属意識の高い社員に仕事が集中し、「その人たちにタスクが降り注ぐ」状態も生まれていました。採用パンフレットには「中堅社員がいません」「ロールモデルとなるような人材がまだいません」「評価面談のサポートは2人で実施。休日に実施することがある」と率直に書かれています。
「それをちゃんと切り分けて整えるために、最初に『評価制度を教えてください』とご相談したんです」。2024年6月、同社は中期計画に「2024年度:人事評価制度の運用スタート」を掲げ、制度の設計に着手します。
選定の決め手 ― ビジョンと、それを評価する「具体的な基準」
「一言で言うと、やはりビジョンです。ただ、ビジョンを掲げるだけでは現実は作れない。ビジョンに共感した人が集まり、その人たちの成果や行動を正しく評価する。その具体的な基準としてのスキルマップが非常に重要だと思っています」。野田社長が挙げた判断軸は、機能比較ではありませんでした。
「仕組みが苦手な会社は、自分たちで無理くり考えるより、ある仕組みをしっかり取り入れて、自分たちの強みに乗せていく。このセットがあって初めて、組織は大きくなる」。skilltyの開発元自身がSES企業の経営で同じ仕組みを回してきたこと、社会人基礎力を等級ごとに基準化して達成率で見られること、客先常駐のエンジニアがスマホで1分で回答できることが、その「ある仕組み」の条件でした。同社が未経験者に徹底しているのは「未経験という自己理解をした上で、自分が現場でどうパフォーマンスしなければいけないかを理解して仕事をすること」。スタンスを可視化することは、「未経験ですが、スタンスは満点です」と顧客に示す営業の武器にもなります。
▲ 等級ごとの役割定義と評価項目。専門スキルと社会人基礎力を同じ地図に置いた(共催ウェビナー資料より)
活用の実態 ― スキルマップを「評価・昇給・面談・営業」の共通言語にする
2024年9月に最終確定したスキルマップは、シーズン1・2のメンバー向けに16項目。「前に踏み出す力」「チームで働く力」「考え抜く力」に加え、専門スキル、プロジェクト理解、自社理解、コンプライアンス、そして同社らしい「顧客志向の元気球」。「顧客満足度アンケートの自己評価をしている」「増員情報を営業へタイムリーに提供している」といった、SESの現場で成果に直結する行動が基準に書き込まれています。メンター向けにはチームビルディング・指導力・影響力の項目を追加しました。
10月1日、全社員が一斉に運用を開始。12月には評価・昇給制度との連動を確定し、スキルマップの達成率が評点の一部として昇給に反映される設計になりました。翌2025年3月には昇給制度の全社説明会を3回開催しています。
そして営業。同社の「シェア獲得シート」は、案件の組織図と商流、各社の人数とシェア率、交代・増員可能枠、キーマンからの信頼度までを現場のエンジニア自身が記録するもので、「1日1回は決裁者と接する」「発注元だけでなくヨコの会社にこそ謙虚に接する」といった行動リストとセットになっています。全社員が営業に参加するこの仕組みも、スキルマップの「現場拡大志向」として同じ地図に統合されました。
▲ 現場主導の「シェア獲得シート」。育成の地図と営業の地図を同じ基準でつなぐ(共催ウェビナー資料より・サンプルデータ)
試行錯誤 ― 制度だけでは動かない。34名のメンターを3回の研修で育てる
順調な話ばかりではありません。評価シートが4種類あることは早い段階で「負担が大きすぎる」と判明し、スキルシートに集約して項目を絞りました。入社3年未満はスキルマップ実践、3年以降は人事評価制度と、対象も切り分けています。
最大の課題は「誰が育てるのか」でした。ロールモデルがいない組織で、34名のメンターにメンティー4〜6名ずつを託す。そこで2025年4月末に第1回メンター研修(90分)、6月に第2回(ロールプレイ)、8月に第3回「Big Family!を築く羅針盤」を実施。研修直後は意気込むが中盤で記録とフィードバックが疎かになり面談前に慌てる、という失敗パターンをあらかじめ想定し、「月報提出率90%・返信率100%」を宿題として持ち帰ってもらいました。
▲ メンター向け研修の全体像。「承認」から始め、状況対応型リーダーシップ、信頼を勝ち取る対話へ(共催ウェビナー資料より)
2025年5月に実施したエンゲージメントサーベイ(回答183名)では、帰属意識が測定対象の平均を大きく上回る一方、仕事への「没頭」に伸びしろがあることが分かりました。第3回研修はこの結果を受け、「メンバーはチームを愛してくれている。あとはプレーへの熱意を高められれば、もっと強くなれる」というメッセージで、メンターの承認活動に焦点を絞っています。
対話の設計 ― 過去の振り返りから「未来×組織」の対話へ
半年に一度のキャリアアップ面談は、「自己評価×顧客評価のギャップ確認」を目的に60分で設計されています。skilltyのスキルボックスと週報で過去と現在を確認し、等級制度とキャリアマップで未来を描く。面談のテーマを意図的に「未来」×「組織(会社のビジョンとの接続)」へ導くことで、「この仕事が楽しい」というワークエンゲージメントを、「この会社で、このチームで、この仕事をやることに意味がある」という従業員エンゲージメントへつなげる——これが同社とスキルティが一緒に組み立てた対話の骨格です。
▲ 過去・現在・未来 × 業務・個人・組織で対話テーマを整理し、未来×組織へ導く(共催ウェビナー資料より)
これから ― 「泥臭い研修」とシステムの両輪で、次の成長フェーズへ
2025年後半にはシーズン3(入社13〜18ヶ月)と5年目のスキルマップを追加し、チームマネジメント力(影響力・指導力・心理的安全性・ファシリテーション)まで地図が伸びました。2026年2月、両社は共催ウェビナー「次世代SES 悟空テクノロジーズ解剖」で、採用・営業・育成・評価を一本の軸で連動させる考え方を公開しています。
導入後の変化を、野田社長はこう振り返ります。「大きく変わったのは、skilltyを導入して実際に仕組みを作り、それに則った評価を置いたこと。会社の思いと、社員の満足度・納得度が一致した実感がありました」。離職についても考えは明確です。「不要な離職は出したくない。必要なのは会社の存在意義。資格手当や受験料の会社負担は、その子たちへの将来の投資。3年後、5年後に成長したときに会社に還元してくれよな、と。今はしっかり俺たちがフォローする」。
「悟空様が素晴らしいのは、システムだけでなく泥臭い研修をセットで実施している点です。システムとリアルの両輪で組織を動かしている」(中塚)。1年半の伴走を経て、同社は"成長痛を感じる場所"から"育て合う仕組みを持つ会社"へ、次のフェーズに向かっています。
選定のポイントと、決め手
お客様の言葉
一言で言うと、やはりビジョンです。ただ、ビジョンを掲げるだけでは現実は作れない。ビジョンに共感した人が集まり、その人たちの成果や行動を正しく評価する。その具体的な基準としてのスキルマップが非常に重要だと思っています。仕組みが苦手な会社は、自分たちで無理くり考えるより、ある仕組みをしっかり取り入れて自分たちの強みに乗せていく。このセットがあって初めて、組織は大きくなる。私自身、体験として実感しています。
— 代表取締役 野田 達也 氏(共催ウェビナーでの発言より)
現場に入った後は、本社との接触機会がどうしても減っていく。研修期間中に培ったマインドや意識をどう継続させるか——これはマインドの話だけではなく、仕組みだと思いました。大きく変わったのは、skilltyを導入して実際に仕組みを作り、それに則った評価を置いたこと。会社の思いと、社員の満足度・納得度が一致した実感がありました。
— 代表取締役 野田 達也 氏(共催ウェビナーでの発言より)
正直、末端にまでベンチャー魂を求めすぎたところがありました。「サラリーマンではなく、一緒に会社を作る仲間として四六時中やろうぜ」というノリが、通用しなくなる時が来る。理解できる人とできない人の住み分けが下手で、ヘイトが向いた時期もあった。それをちゃんと切り分けて整えるために、最初に「評価制度を教えてください」とご相談したんです。
— 代表取締役 野田 達也 氏(共催ウェビナーでの発言より)
最初は、やる気があって帰属意識の高い人に会社もいろいろ仕事を任せていた。すると、その人たちにタスクが降り注ぐ。最小限で最大のインパクトを出すにはどうするかを模索した時期があって、そこで一緒に組織の体制を作り直した。ここが一番大きかったと思います。
— 代表取締役 野田 達也 氏(共催ウェビナーでの発言より)
不要な離職は出したくない。必要なのは会社の存在意義です。資格手当や受験料の会社負担は、その子たちへの将来の投資。今は未経験でできることが少なくても、3年後、5年後に成長したときに会社に還元してくれよな、と。今はしっかり俺たちがフォローする。
— 代表取締役 野田 達也 氏(共催ウェビナーでの発言より)
悟空様が素晴らしいのは、システムだけでなく「泥臭い研修」をセットで実施している点です。システムとリアルの両輪で組織を動かしている。急拡大する組織の成長痛と向き合い、一緒に仕組み化に取り組めたことを誇りに思います。
— スキルティ株式会社 代表 中塚
導入のタイムライン
- 2024.06人事評価制度の設計に着手(中期計画「2024年度:人事評価制度の運用スタート」)
- 2024.09スキルマップ確定(シーズン1/2+メンター向け項目)
- 2024.10全社員のskillty運用開始(毎月2〜3項目を実践→自己チェック→メンター承認)
- 2024.12評価・昇給制度に連動する評点の考え方を確定
- 2025.03昇給制度の全社説明会(3回)
- 2025.04〜08メンター研修 第1回(90分・34名)→第2回ロールプレイ→第3回「Big Family!を築く羅針盤」
- 2025.05エンゲージメントサーベイ実施(回答183名)。キャリア座談会
- 2025.09〜キャリアアップ面談(メンター×メンティー、半年に一度)本番運用
- 2025年後半シーズン3(13〜18ヶ月)・5年目スキルマップを追加策定
- 2026.02両社共催ウェビナー「次世代SES 悟空テクノロジーズ解剖」で全容を公開
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