3つのExcelを1本に。195項目の共通の物差しで給与連動の人事評価をシステム化し、初年度から社員発の改定が始まった
C++・組込み・モバイル開発を手がける約40名の受託ソフトウェア開発会社。スキルシート・評価表・資格が3つのExcelに分かれ、全体像が掴めませんでした。自社で作り込んでいた職能評価表の構造を変えずにskilltyへ移植し、業務スキル71+ITスキル74+資格50=195項目を全社員共通の物差しに。給与・賞与と連動した評価をシステム上で運用し、本番1ヶ月で67%が自己チェックを完了。運用初年度に、社員側から「AI活用」を評価軸に加える改定案が出ました。
何が、どう変わったか
導入後の変化 ― 195項目が「全社員共通の物差し」になり、上流・育成の伸びしろが数字で見えた
B社は、これまでスキルシート・評価表・資格の3つのExcelで管理していた人事評価を、skillty上の一つの体系に統合しました。業務スキル71項目、ITスキル74項目、資格50種、合わせて195項目が、全社員に共通の物差しになっています。
本番運用を始めて1ヶ月、対象43名のうち29名(67%)が業務スキルの自己チェックを完了。カテゴリ別の達成率を集計すると、主体性・規律性74%、タスク管理61%、プログラミング59%に対し、設計19%、他者指導14%、プロジェクト管理7%。「挨拶」「24時間以内の返信」「基本コーディング」はほぼ全員ができている一方、「スコープ定義」「リスク計画」「品質基準管理」は達成者ゼロ。基礎はできているが、上流・マネジメント・育成に伸びしろがあることが、印象ではなく数字で見えました。20代が55%を占める組織にとって、これは「次に何を身につければ上がれるか」の地図です。
▲ 週次のスキル習得状況が、そのまま人事評価シートに反映される(提案資料より)
背景 ― 自社で作り込んだ評価表が、3つのExcelに分かれていた
B社は茨城県の受託ソフトウェア開発会社です。C++や組込み、iOS/Androidのモバイル開発を主力に、ISO9001とISO27001を取得し、約40名で受託・準委任案件を手がけています。社員の55%が20代、勤続3年未満が38%。一方で勤続20年以上のベテランも10名いる、二極の構造です。
人事評価には以前から取り組んでいました。社内に「人事評価制度設計委員会」があり、2025年1月には職能評価表の初版を作成。ただ、「スキルシートでITスキルと資格、評価表で業務スキル」と、全体像を掴みづらい形式だったことが自社の文書にも記されています。旧評価は「知識が不足しており改善意欲も見られなかった」といった段階判定と、月平均作業時間や行事参加率のような労務指標が中心で、若手に「次に何を目指すか」を示す構造ではありませんでした。
選定の決め手 ― 「自社の評価表をそのまま活かせるか」
B社の判断軸は明確でした。自分たちで作った評価表を捨てずに、そのままシステムに載せられるか。skilltyでは、B社の「大カテゴリ/小カテゴリ/項目」を「カテゴリ/習得分類/習得項目」に、配点をスキルシート・資格シート・スキル診断シートのウエイトに対応づけるだけで移植が完了しました。翻訳で変わったのは5箇所の呼び名だけ。カスタマイズ8時間の枠内に収まっています。
二つ目の軸は給与・賞与への連動です。B社は給与用と賞与用の2つの配点を持ち、旧方式との点数差を検証した上で移行しました。年度目標は給与、半期目標は賞与に反映される運用が、そのままシステムに載っています。三つ目は費用で、IT導入補助金の申請サポートを受け、2年契約で導入しました。
▲ スキルマネジメント・人事評価・eラーニングの3システム連動。B社は評価連動を軸に導入(提案資料より)
活用の実態 ― 4軸+自由評価、100点満点の設計
評価は5つの要素で構成されています。①業務スキル60点:9カテゴリ・71項目の○×チェック。②IT資格10点:IPA・AWS・Cisco・Oracleなど50資格を難易度5段階で。③ITスキル20点:言語・フレームワーク・ツール・DB・インフラ・語学の74項目を6段階(ITSSレベル対応)で自己評価。④年度成長目標と⑤自由評価で10点。
等級は新人(入社1〜2年)/メンバー/主任/主事以上の4段階で、カテゴリごとに「30〜50%充足」「概ね充足」の習熟目安を定義しました。プロジェクト管理は主任以上、他者指導はメンバー以上が対象。月1回の上長とのスキルアップミーティングで達成度を確認し、成長目標の自己設定→達成評価→自己分析のサイクルを回しています。
▲ 項目ごとの基準・参考動画・分類別の積み上げ。B社では業務スキル71項目がここに載る(提案資料より)
これから ― 初年度に社員側から出た「AI活用」の改定案
運用1ヶ月時点の数字には、まだ課題も残っています。ITスキルの自己評価は28%、年度成長目標の入力は7%にとどまり、管理職・役員層の記入が遅れています。ただ、この数字が見えること自体が、以前のExcel運用にはなかったことです。
そして2026年5月、社員側から2026年版の改定案が出ました。背景に書かれていたのは「AI活用の一般化」「外国語を使う案件の発生」「技術トレンドの定期見直し」。「AI活用」カテゴリを新設し(適用判断・指示設計・ハルシネーション対策・開発生産性・ドキュメント活用の5項目)、全項目に「判断例」を添えて評価のブレを抑え、英語での顧客対応を評価項目に加える。社内でフィードバックを起票して「対応中/完了」で管理しています。
評価制度は「作って終わり」になりがちです。B社では、運用初年度から社員が制度を更新する側に回りました。
選定のポイントと、決め手
導入のタイムライン
- 2025.01社内で人事評価表の初版を作成(人事評価制度設計委員会)
- 2025.02skillty見積
- 2025.04申込・キックオフ(IT導入補助金を活用した2年契約)
- 2025.04〜07職能評価表をskilltyの「スキルシート/資格シート/スキル診断シート」に翻訳。等級別習熟目安を定義
- 2025.08〜09データ登録・操作説明会・テスト運用
- 2025.10本番運用開始
- 2025.11運用1ヶ月:業務スキル自己チェック67%、カテゴリ別達成率を初集計
- 2026.05〜06社員発の2026年版改定案:「AI活用」カテゴリ新設、全項目に判断例を追加、英語対応を評価項目化
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